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蛍光体市場をほぼ独占する「根本特殊化学」

暗所でも時計が読めるのは、文字盤に塗布された蛍光体のおかげである。この蛍光体分野において世界市場をほぼ独占しているのが、杉並区に本社を置く根本特殊化学だ。創業の翌年に太平洋戦争が始まり、同社の夜光塗料を用いた軍隊用夜光時計が爆発的にヒット。しかし、終戦と同時に軍の需要が無くなっただけでなく預金封鎖まで行われ、蓄えはほぼゼロに。そして、ここから再び根本特殊化学は急成長を遂げる。当時苦境にあった根本特殊化学を救ったのは、ほかならぬ夜光塗料の技術であった。

世界初!放射線ゼロの蛍光体開発に成功

当時の夜光塗料はラジウムを原料としていた。しかしこのラジウムは、微量の放射線を発する。ストロンチウムやプロメチウムへの切り替えも検討されたが、やがて放射線を発する夜光塗料そのものが問題視されるようになる。多くの夜光塗料メーカーが撤退する中、根本特殊化学だけは生き残った。同社は、世界初の放射線ゼロの蛍光体開発に成功したのだ。